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”住まう”で中庭と大きなルーバーの家が紹介されました|大阪ガス発行 090201

(2008/10/1)

子どもの頃に遊んだ
心地いい「庭」を忘れない家づくり...

 

 

 

水谷さんが生家から引っ越しをしたのは、わずか3歳のとき。にもかかわらず、生家の記憶は鮮明に残っているといいます。
「裏庭というか南側の小さな庭で遊んだ場所や、その外の街路風景はとてもよく覚えていますね。泥遊びをしたり、つくってもらったブランコに乗ったり。庭に面した道を歩く近所のおばさんから声をかけられたのも覚えていますよ」

 引っ越した先の大阪でも遊び場になったのは、長屋の前の路地空間などで、そうした記憶は水谷さんに大きな影響をおよぼしたようです。
大学で建築を学び、修業時代を経て独立した水谷さんは、「身軽なうちに」南欧・北アフリカをまわります。約半年の長旅だったそうですが、そのときに見て廻ったのは地中海沿岸の古い集落。身近な材料でつくられた素朴な家々が集まることでとても力強い空間をつくりだすこと。そのあいだをぬう街路や中庭空間の気持ちよさ。そうした空間体験は、幼い頃の記憶と結びつき、今も水谷さんの原点となっているといいます。
「そういう心地よさや力強さを、日本で設計するなかでどうやってつくりだせるのか。それを整理していくことが私の出発点だった気がします」

 今、水谷さんが設計する住宅には、その多くに中庭空間がつくられています。水谷さんは、中庭や街路空間を「内と外との接点ともいえる、魅力ある曖昧で中間的な場所」と言い、積極的に取り入れることで、魅力的な住宅をつくり出すのです。
「大きなルーバーと中庭のある家」でも、敷地の一番奥に、浮かぶ中庭をつくっています。「浮かぶ」というのは、中庭空間が2階にあるから。法の規制などいろいろな問題があり、決して広くはない敷地ですが、工夫を重ねてリビングとつながるプライベートな外部空間をつくりだしました。室内と一体化する床続きの外部は、室内に大きな開放感と連続感をもたらせてくれます。

「大開口で内外部を一体化して、境界を曖昧にすることで広がりを得られますし、室内だけでは感じられない豊かな空間になると思います。なにより、その開放感を初めて体験されたときの建て主の方の驚いた様子、そしてうれしそうな顔を見るのが楽しみなんです」

 床や壁を極力自然素材で構成しながら、室内をどんどん外部と結びつける水谷さん。それは幼い頃にみずからが遊んでいた、心地いい裏庭を再現する試みなのかもしれません。時代は変わろうとも、人が心地よく思える空間は変わらない。水谷さんの建築からは、そんな強い思いが伝わってきます。
(文章/住まうより抜粋) 

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